何故、お風呂に入ると気持が良いのでしょうか。

 入浴は、心身をリラックスさせてくれる大事な休養法です。お風呂に入ると気持ちが良いのは、次のような作用によります(入浴の効果)。

◆浮力の効果で体が軽くなる
 お風呂に首まで浸かると体重は約10分の1程度になり、体を自由に動かせるようになります。
 体が軽くなった感覚により筋肉が緩み、リラックスした状態になり、空気中では絶対に味わえないフワーッとした感覚になります。
 なお、体の各部分を早く動かすと、水の抵抗力が加わり筋力の強化になり、これを利用して筋力の弱った人や運動機能の低下した人へのリハビリテーションにも利用されます。

◆全身の血行が良くなる
 お風呂に入ると水圧を受けます。この圧力はウエストが3~6cmも細くなるとか?。
 この圧力で、足にたまった血液が押し戻され、心臓の働きを活発にし、血液の循環を促進します。また、腹部にかかる水圧が横隔膜を押し上げて肺の容量を減少させるため、空気を補うために呼吸の回数が増え心肺機能が高まります。
 体が温まると血管が広がります。そして筋肉や関節、内臓など、体じゅうすべての血液循環がよくなり、疲労物質が運び去られて、ゆっくりと疲れがとれていきます。
 注)お湯に浸かると体は温まります。これが温熱作用です。温熱作用には次のような効果がります。すなわち、皮膚の毛細血管や皮下の血管が広がり、血流が良くなります。それにより体内の老廃物や疲労物質が除去され、コリがほぐれ疲れが取れます。
 また、内臓の働きを助け、自律神経をコントロールする作用もあります。腎臓の働きもよくなり、利尿作用がはたらきます。

◆全身の皮膚感覚が刺激される
 皮膚の表面の触覚がお湯で刺激されます。海水浴や日光浴などとともに、入浴ではこの動物的な皮膚感覚が刺激され、とても気持ちよくなるのです。

 
●お風呂の温度は?●
 温度の高いお風呂(42℃以上)は、緊張、興奮の自律神経である「交感神経」が優位に立ち、しっかりと目が覚めた状態となります。
  一方、ぬるめのお風呂(37から40℃)は、気持ちを鎮める働きをするリラックスの自律神経である「副交感神経」が優位に立ち、落ち着いた気分になります。
  ぬるいお湯にゆっくりと時間をかけて入ると、筋肉の緊張がとけ、体や心がリラックスする鎮静作用があります。寝る前にぬるいお湯に入るとよいのはこのためです。
 
 なお、日本人がもっとも気持ちの良いと感じる温度は「42℃」と言われています。

                                       参考文献:健康自己管理事典(社会保険出版社)